はじめに
「結婚しています」は「I am getting married」ではありません。「I am married」です。
「死んでいます」は「He is dying」ではありません。「He is dead」です。
同じ「〜ている」なのに、意味がちがう。なぜでしょうか?
答えは動詞のタイプにあります。日本語の動詞は3つのタイプ+おまけ1つに分かれます。このタイプを知れば、「〜ている」でもう迷いません。
① 状態動詞:「〜ている」が使えない
② 継続動詞:「〜ている」= 動作の最中
③ 瞬間動詞:「〜ている」= 結果の状態
+おまけ 第四種の動詞:「〜ている」でしか存在できない
この分類をつくったのは、金田一春彦先生。日本語の研究でとても有名な言語学者です。
① 状態動詞 — 「〜ている」が使えない動詞
この動詞は特別です。「〜ている」の形にできません。
例文
「机の上にペンがあります。」 → ×「ありています」
「猫がいます。」 → ×「いています」
「日本語ができます。」 → ×「できています」
なぜ使えないのか。これらの動詞はもともと「状態」を表しています。
- 「ある」= そこに存在している状態
- 「いる」= そこにいる状態
- 「できる」= 能力を持っている状態
すでに状態なので、「〜ている」をつける必要がありません。
英語にも同じ仕組みがあります
❌ I am knowing → ✅ I know
❌ I am liking → ✅ I like
英語の know, like, love, want も状態動詞です。「〜ing」にできません。日本語の「ある・いる・できる」と同じ仕組みです。
② 継続動詞 — 「〜ている」= 今まさにやっている
この動詞に「〜ている」をつけると、動作が今、進行中であるという意味になります。
例文
「ケンジさんは本を読んでいます。」 → 今、ページをめくっている
「マリアさんはレポートを書いています。」 → 今、タイピングしている最中
「あの人は公園を歩いています。」 → 今、一歩一歩動いている
この「〜ている」は英語の「〜ing」に近いです。ただし「同じ」ではありません。
習慣の意味もあります
「毎朝、走っています。」 → 毎朝走る習慣がある
「大学で日本語を勉強しています。」 → ふだんやっていること
「進行中」だけではなく、「いつもやっていること」も「〜ている」で表します。
③ 瞬間動詞 — 「〜ている」= 結果の状態(山場)
ここが最も多くの人が間違えるところです。
この動詞に「〜ている」をつけると、動作が完了した「あと」の状態を表します。「進行中」ではありません。
例文
結婚する → 結婚している
「結婚しています」= I am married(式が終わったあとの状態)
❌ I am getting married(式の最中)
死ぬ → 死んでいる
「死んでいます」= He is dead(もう死んだあとの状態)
❌ He is dying(まだ死んでいない)
始まる → 始まっている
「映画はもう始まっています。」 → 始まった瞬間は一瞬。そのあと上映中。
壊れる → 壊れている
「この時計は壊れています。」 → 壊れた瞬間は一瞬。そのあと壊れたまま。
②と③の違い
継続動詞② | 瞬間動詞③ | |
「〜ている」の意味 | 動作の最中 | 動作が終わったあとの状態 |
例 | 食べている → もぐもぐ中 | 結婚している → 指輪をしている |
英語 | ~ing | 状態(married, dead) |
同じ「〜ている」でも、動詞のタイプで意味がまったく変わります。
傾向:他動詞 vs 自動詞
- 他動詞(意志的な動作)→ 時間がかかる → 継続動詞②
- 自動詞(自然に起こる変化)→ 一瞬で起こる → 瞬間動詞③
完全な法則ではありませんが、迷ったときのヒントになります。
おまけ:第四種の動詞 — 「〜ている」でしか生きられない動詞
金田一先生が発見したオリジナルの分類です。
例文
似る → ✅「お母さんに似ています」 / ❌「お母さんに似ます」
優れる → ✅「この製品は優れています」 / ❌「この製品は優れます」
そびえる → ✅「富士山がそびえています」 / ❌「富士山がそびえます」
①は「〜ている」が使えない。
おまけは「〜ている」でしか使えない。
正反対です。
まとめ
タイプ | 「〜ている」の意味 | 代表的な動詞 |
① 状態動詞 | 使えない | ある・いる・できる |
② 継続動詞 | 動作の最中 | 読む・書く・食べる |
③ 瞬間動詞 | 結果の状態 | 死ぬ・結婚する・壊れる |
おまけ 第四種 | これでしか存在できない | 似る・優れる・そびえる |
練習問題
問題1:「マリアさんは手紙を書いて。」
問題2:「電車はもう出て。」
問題3:「この子はお父さんに。」
問題4:「机の上にペンが。」
答え:
1. 書いています(②継続動詞 → 動作の最中)
2. 出ています(③瞬間動詞 → 結果の状態)
3. 似ています(おまけ → 「〜ている」でしか使えない)
4. あります(①状態動詞 → 「ありています」ではない)
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