🎌
Mundial Keigoへようこそ!
/
🇯🇵
やさしい日本語で学ぶ
/
📚
五十音表の嘘 〜ローマ字が隠している本当の発音〜
📚

五十音表の嘘 〜ローマ字が隠している本当の発音〜

この記事で学ぶこと

3つのポイント:
1. サ行の「し」は S の音ではない — 舌が硬口蓋に近づく別の音 [ɕ]
2. タ行の「ち」[tɕ] と「つ」[ts] は T ではなく破擦音
3. ハ行の「ふ」[ɸ] は両唇摩擦音、「ひ」[ç] は硬口蓋摩擦音

📖 この記事の内容

  1. 嘘その1:サ行 — 「し」はSの音じゃない
  2. 嘘その2:タ行 — 「ち」も「つ」もTの音じゃない
  3. 嘘その3:ハ行 — 「ひ」も「ふ」もHの音じゃない
  4. まとめテーブル
  5. 練習シート

はじめに

皆さん、ちょっと想像してください。日本語を勉強し始めました。教科書を開いたら、五十音表があります。きれいに50音が並んでいます。

さ、し、す、せ、そ。…あれ?「し」だけ違いませんか?

それが最初のヒントです。五十音表は「嘘」を隠しています。ローマ字は日本語を簡単に見せます。でも本当は、同じ行なのにルールを破る音があります。

今日は、五十音表に隠された3つの嘘を明らかにします。これを知ったら、日本語の音が全く違って聞こえますよ。

反乱を起こしているのは「イ段」です。子音が母音 /i/ と組み合わさると、舌が硬口蓋に移動して、音が変わります。

① 嘘その1:サ行「し」はSの音じゃない

コンセプト

サ行を見てください:さ(sa)、し(shi)、す(su)、せ(se)、そ(so)。

4つは [s] を使います。舌の先が歯茂の後ろ(歯茂)の近くにあります。でも「し」は反乱者です。母音 /i/ がつくと、舌が後ろに移動して硬口蓋に近づきます。音が完全に変わります。

イメージしてください:Sは口の天井の前のほう。「し」はもっと後ろです。

例

すし [sɯɕi]
1つの単語に、2つの違う子音があります。「す」は [s]、「し」は [ɕ]。知らないうちに舌の位置を変えています。
しんかんせん
「し」と「せん」は同じサ行なのに、子音が全く違います:[ɕ] vs [s]。
おさしみ
「さ」[sa] vs「し」[ɕi] — 並ぶと、舌の移動が感じられます。

英語・スペイン語との比較

  • 英語 "see" = 舌が前 = [s](歯茂)
  • 英語 "she" = 舌がもっと後ろ = [ʃ](後部歯茂)
  • 日本語「し」 = さらに後ろ = [ɕ](歯茂硬口蓋)

だから「し」は英語の "see" より "she" に近いです。ローマ字ではわかりません。

よくある間違い

間違い
正しい
理由
英語の "see" と同じ口で「し」[si]
舌を硬口蓋に近づける [ɕi]
「し」は歯茂の S ではない
「さ」と「し」が同じ子音だと思う
[s] vs [ɕ] — 違う音
母音 /i/ が口蓋化を引き起こす

練習(嘘その1)

問1: 「すし」という単語には、子音がいくつありますか?

‣
答えを見る

答え:2つ — 「す」は [s](歯茂)、「し」は [ɕ](歯茂硬口蓋)。同じサ行なのに、違う音です。

問2: 「し」を発音するとき、舌はどこにありますか?

‣
答えを見る

答え: 硬口蓋の近く(口の天井の真ん中あたり)。「さ」「す」「せ」「そ」の [s] よりもっと後ろです。

② 嘘その2:タ行「ち」も「つ」もTの音じゃない

コンセプト

タ行を見てください:た(ta)、ち(chi)、つ(tsu)、て(te)、と(to)。

「た」「て」「と」は単純な [t] です。舌が歯茂に触れて離れます。簡単です。でも「ち」と「つ」は破擦音です。

破擦音とは何でしょう?2つのステップがある音です。まず舌が空気を止めます(Tのように)。その後、きれいに離れずに、空気の摩擦が出ます(SやSHのように)。止める+摩擦が1つの瞬間に起こります。

「ち」 [tɕi] — 硬口蓋で止めます(「し」と同じ場所)。硬口蓋破擦音です。

「つ」 [tsɯ] — 歯茂で止めます(前のほう)。[s] に解放されます。歯茂破擦音です。

例

ちず(地図)[tɕizɯ]
「ち」を単純な T で発音すると、「てぃず」に聞こえます。日本人には全く違う音に聞こえます。
つなみ(津波)[tsɯnami]
英語話者はよく「sunami」と言います。英語では単語の最初に [ts] が来ないからです。[t] を落としてしまいます。
つくえ(机)[tsɯkɯe]
日常的な単語で [ts] の練習ができます。

英語・スペイン語との比較

  • 「ち」 ≈ 英語の "ch"(cheese)— 似ていますが、日本語の [tɕ] はもう少し硬口蓋寄り
  • 「つ」 ≈ 英語 "cats" の最後の "ts" — でも日本語では単語の最初に来る
  • スペイン語でも [ts] で始まる単語はほぼない

よくある間違い

間違い
正しい
理由
「ち」を [ti] で発音
破擦音 [tɕi] を使う
T の口では「ち」は出ない
「つ」を [tu] で発音
破擦音 [tsɯ] を使う
T の口では「つ」は出ない
「つなみ」の [t] を落とす → "sunami"
[ts] を保つ:[tsɯnami]
[t] は破擦音の一部

練習(嘘その2)

問1: 学生が「地図」を [tizu] と発音しました。何が間違いでしたか?

‣
答えを見る

答え: 破擦音 [tɕ] ではなく、単純な [t] を使ってしまいました。「ち」は T ではなく、硬口蓋破擦音 [tɕi] です。正しい発音は [tɕizɯ] です。

問2: タ行の中で、破擦音はどれですか?

‣
答えを見る

答え: 「ち」[tɕi] と「つ」[tsɯ]。残りの3つ(た、て、と)は単純な [t] です。

③ 嘘その3:ハ行「ひ」も「ふ」もHの音じゃない

コンセプト

ハ行を見てください:は(ha)、ひ(hi)、ふ(fu)、へ(he)、ほ(ho)。

「は」「へ」「ほ」は [h] を使います。のどから息が出る音(声門摩擦音)。でも「ひ」と「ふ」は全く違います。

「ふ」 [ɸɯ] — 両唇摩擦音です。両方の唇を近づけて(ロウソクを消すように)空気を通します。歯は使いません。英語の F とは違います。英語の F は上の歯で下唇を噌みます。

豆知識:「ふ」は約1,000年かけてパ行から進化しました。古い日本語では「は」は [pa] でした。[pa] → [ɸa] → [ha] と変わりました。「ふ」はその変化の生きた化石です。

「ひ」 [çi] — 硬口蓋摩擦音です。空気が硬口蓋の上を通ります(「し」や「ち」と同じ場所)。ドイツ語の "ich" の "ch" の音と同じです。

例

ふじさん(富士山)[ɸɯdʑisaɴ]
英語では "Fuji" と書いて [f] で発音します。でも日本語の「ふ」は [ɸ] です。唇だけで、歯は使いません。
ひと(人)[çito]
英語の "he" [hi] とは口の形が違います。「ひ」の舌は硬口蓋に上がります。
ふゆ(冬)[ɸɯjɯ]
両唇 [ɸ] の練習に。歯を使わないでください。

英語・スペイン語との比較

  • 英語の H:のどから息が出る(日本語の「は」「へ」「ほ」と似ている)
  • 英語の F:上の歯が下唇に触れる(唇歯摩擦音)— 「ふ」ではない
  • スペイン語の H:無音(hoja, horno — Hは音がない)
  • ドイツ語 "ich" [ç] = 日本語「ひ」と同じ

よくある間違い

間違い
正しい
理由
下唇を噌んで「ふ」(英語の F)
両唇を近づけて、歯なし [ɸ]
「ふ」は両唇摩擦音。Fは唇歯摩擦音
のどから「ひ」(英語の H)
舌が硬口蓋に上がる [ç]
「ひ」は硬口蓋摩擦音。Hは声門摩擦音

練習(嘘その3)

問1: 「ふ」を言ってみてください。下唇が上の歯に触れていますか?

‣
答えを見る

答え: 触れていたら、それは英語の F です。日本語の「ふ」[ɸ] は、両唇を近づけるだけ(ロウソクを消すように)。歯は唇に触れません。

問2: ドイツ語の "ich" と日本語の「ひ」は、同じ種類の子音ですか?

‣
答えを見る

答え:はい。 どちらも [ç](硬口蓋摩擦音)です。空気が硬口蓋の上を通ります。

まとめ

嘘
ローマ字
本当の音 (IPA)
口の違い
サ行「し」
si / shi
[ɕi]
舌が硬口蓋に移動
タ行「ち」
chi / ti
[tɕi]
硬口蓋破擦音(止める+摩擦)
タ行「つ」
tsu / tu
[tsɯ]
歯茂破擦音(止める+摩擦)
ハ行「ふ」
fu / hu
[ɸɯ]
両唇摩擦音(唇だけ、歯なし)
ハ行「ひ」
hi
[çi]
硬口蓋摩擦音(硬口蓋)

パターンが見えますか?母音 /i/ が子音と組み合わさると、舌が硬口蓋に移動します。これを口蓋化と言います。イ段が反乱を起こす原因です。

ローマ字は便利ですが、この違いを隠しています。今日知ったことで、日本語の音が全く違って聞こえますよ。

📝 練習シート — 3つの嘘まとめ

問1: 次の単語と正しいIPAを結びつけてください。

  • A) すし
  • B) ちず
  • C) ふじさん

選択肢:[ɸɯdʑisaɴ] / [sɯɕi] / [tɕizɯ]

‣
答えを見る

A) すし = [sɯɕi] — 1つの単語に2つの子音

B) ちず = [tɕizɯ] — 硬口蓋破擦音。Tではない

C) ふじさん = [ɸɯdʑisaɴ] — 両唇摩擦音。Fではない

問2: "Fujisan" のローマ字には F があります。どの嘘に関係しますか?

‣
答えを見る

答え:嘘その3(ハ行)。 日本語の「ふ」は [ɸ](両唇摩擦音)で、[f](唇歯摩擦音)ではありません。ローマ字の "fu" は誤解を生む書き方です。

問3: 英語話者が「tunami」ではなく「sunami」と言うのはなぜですか?

‣
答えを見る

答え: 英語では単語の最初に [ts] が来ることがほとんどないからです。英語話者は無意識に [t] を落として [sɯnami] と発音します。日本語では「つ」の [t] は破擦音の一部で、必要な音です。

問4: 「し」「ち」「ひ」に共通することは何ですか?

‣
答えを見る

答え: 3つとも硬口蓋に関係する音です。「し」[ɕ]、「ち」[tɕ]、「ひ」[ç] はすべて舌が硬口蓋に上がります。これが口蓋化で、イ段の反乱の正体です。

問5: 次の音を分類してください。破擦音、摩擦音、単純な破裂音のどれですか?

  • A) た [t]
  • B) ち [tɕ]
  • C) し [ɕ]
  • D) つ [ts]
  • E) ふ [ɸ]
‣
答えを見る

A) た = 破裂音(舌が触れて離れる)

B) ち = 破擦音(止める+硬口蓋で摩擦)

C) し = 摩擦音(空気の摩擦が続く)

D) つ = 破擦音(止める+歯茂で摩擦)

E) ふ = 摩擦音(両唇で空気の摩擦)

問6: IPA記号を埋めてください。

  • し = [__i]
  • ち = [t__i]
  • つ = [t__ɯ]
  • ふ = [__ɯ]
  • ひ = [__i]
‣
答えを見る
  • し = [ɕi]
  • ち = [tɕi]
  • つ = [tsɯ]
  • ふ = [ɸɯ]
  • ひ = [çi]

▶️ 動画を見る

この記事はポイントをまとめていますが、実際の音を聞くともっとわかります。

👉 YouTubeでフルレッスンを見る

💬 CC(字幕)をオンにしてください。英語・スペイン語の字幕もあります。

🎓 もっと勉強したい皆さんへ

この記事で、日本語の隠れた音を学びました。でも発音は、読むだけでは足りません。実際に声に出して、先生にフィードバックをもらうことが大事です。

Preply で Keigo のレッスンを受けると、この記事で学んだ音を実際の会話の中で練習できます。

👉 Preply で体験レッスンを予約する

シリーズ: S9 | 言語: JP | トピック: 五十音表の嘘 | Slug: gojuon-lies